2005年8月3日
宝登山は、明治の偉人渋沢栄一が称える「長瀞は天下の勝地」、荒川の左岸に位置する、標高497mの独立峰で、今から1900年の昔日本武尊が登頂された山頂付近には、「寳登山は千古の霊場」にふさわしく、寳登山神社の御祭神(神日本磐余彦尊・大山祇神・火産霊神)をまつる奥社が鎮まる他、臘梅園、梅百花園、シカやニホンザルが放し飼いされている宝登山動物園などがあり、また秩父盆地や秩父連山の眺望が楽しめます。
山の名は、日本武尊の故事にちなむ「火止ほど」説、和銅の精錬に関わる「火所ほど」説などありますが、定かではありません。神社は「火止ほど」説を採っています。
長瀞の山々は新緑の萌葱(もえぎ)色にはじまり、真夏の深緑、秋の紅葉、冬には落葉し、灰色の枝をした落葉樹の雑木林と、一年をとおして緑色をしている、常緑樹の林から構成されています。
宝登山も地内の山と同様に、本来そこにあった樹木の伐採や、土地の崩壊の後に育った林の二次林と、スギとヒノキの植林作業が進められた人工林とに二分類できます。
宝登山の二次林は、一部の林については現在あまり手入れされていない状況にあり、落葉樹のコナラ林を中心にし、木々は階層構造になっています。
長瀞の山々は新緑の萌葱(もえぎ)色にはじまり、真夏の深緑、秋の紅葉、冬には落葉し、灰色の枝をした落葉樹の雑木林と、一年をとおして緑色をしている、常緑樹の林から構成されています。
宝登山も地内の山と同様に、本来そこにあった樹木の伐採や、土地の崩壊の後に育った林の二次林と、スギとヒノキの植林作業が進められた人工林とに二分類できます。
宝登山の二次林は、一部の林については現在あまり手入れされていない状況にあり、落葉樹のコナラ林を中心にし、木々は階層構造になっています。
落葉樹のコナラは、シイタケ栽培の原木として利用されます。15年から20年経ったものは冬に伐採され、90cmほどの長さにきりそろえられ、シイタケ菌を打ち込まれ、仮伏せの後、林間のホダ場に組みおかれます。
昭和45年ごろから家庭の燃料源の切り替わり、田畑への施肥が科学肥料に変化することによって、林への依存度が減少するに及んだ最近では、林が放置され、山に手を入れる機会が少なく、クズが繁殖し、木々の再芽再生力を失いつつある林が多くみられるようになりました。
スギとヒノキの植林についても、最近は林の維持管理が難しくなり、放置され荒廃している植林が見受けられ、材木の質をすこぶる低下させています。しかし宝登山のスギとヒノキの植林は県造林として、県がその管理に当たり、よく手入れされた樹林に成長しています。
神社本殿の裏山は、清浄な空間として人手が加わらない林となっています。日中でも薄暗く、モミの大木に混じり、アオキやカシ、サカキなどの中・低木が生育しています。社殿はスギの木々に取り囲まれ、その周縁はツツジ、モミジ、サクラなどを植栽し、庭園化がなされています。
神社境内国旗掲揚場の脇に植えられ、クロマツとアカマツが一対になっています。植樹は大正末年、昭和天皇の御成婚を奉祝し、野上樋口両青年団が山から苗木を移植したもので、樹齢は80年余あります。クロマツは雄(男)松といわれ、針葉は剛直で、幹は黒味をおび、勇壮で重厚感があります。対してアカマツは雌(女)松といわれ、芽や幹は赤く、針葉は明るく優雅で柔らかくもあります。この樹木は歴史的にも価値があり、対になっている面白さもあり、町天然記念物に指定されています。
山頂に向かう参道は十八丁(一丁は約109m)をかぞえ(参道の延長によって現在は二十三丁ほど)、丁目石が設置されていましたが、今は数個を確認するのみとなってしまいました。
参道には四季折々花が咲き、目を楽しませてくれます。春早いとき、目にする小さな黄色い花をたくさんつける木に、キブシ、マンサク、ダンコウバイがあります。そのほか3月から5月にかけて赤い小さい花をつけるフサザクラ、白い花はモミジイチゴ、チョウジザクラ、マルバウツギ、ミツバウツギ、ミズキが見られます。
草本類では、スミレの仲間のアオイスミレが3月から4月にかけて咲き始め、アケボノスミレ(4月上旬)タチツボスミレ、ナガバノスミレサイシン、エイザンスミレなどが5月まで次々に開花し、またヤブレガサ、モミジガサの芽吹きやフタリシズカなどの開花も楽しめます。
初夏から梅雨の頃はホウチャクソウ、マムシグサ、チゴユリ、7・8月にはウバユリや青い花をつけるキキョウ科のツリガネニンジンが咲き始め、秋近い9月からはキク科のコウヤボウキが咲き、本格的な秋になるとヤマシロギクなどのキク科が目立ち11月ごろまで咲き競います。
神が鎮まり、御眷属の山犬(大口真神)さまが隠ろい居すこの山は、里人にとって水源であり、薪炭をはじめ生活の支えを授けてくださる「お山」として大切にして信仰してきました。野の花も宝登山の神からの授かり物として大切にしていただき、採取することなく観賞願います。